Q6) 賃金の切り下げ(労働契約、就業規則の変更)について
従業員30人ほどの会社(労働組合なし)で正社員として働いています。先日、会社から、不況の影響で会社の経営状態が厳しくなったとして、賃金を15%カットしたいという提案がありました。多くの従業員がこの提案には応じなかったところ、会社は、従業員の賃金を一律15%カットするという内容の就業規則の変更を行い、来月からこれを適用するといっています。来月から賃金が引き下げられてしまうのでしょうか?
Q6) アドバイス ⇒
就職のときに、労働者は会社(使用者)と対等の労働契約を結んでいるので、原則として、労働者の同意を得ないで使用者が勝手に賃金などの契約内容を不利益に変更することはできません。
ただ、例外的に、一定の条件の下で、合理的といえる場合に就業規則の改定による労働条件の変更が認められることがあります(労働契約法10条)。
本件の場合、賃金という重要な条件が大幅に切り下げられてしまうことから、労働者の受ける不利益は極めて大きいといえます。
また、経営状態の悪化を変更の理由としていますが、使用者が経費削減や遊休資産の売却など措置をとっていない場合は、労働条件変更の必要が高いとは認められにくいしょう。さらに、賃金を下げるにしても、労働者の生活に配慮して段階的に引き下げをするのではなく、いきなり来月から大幅な引き下げを行おうとしていることから、十分な経過措置があるともいえません。
これらの事情を総合的に考慮すれば、本件の就業規則の改定による賃金の引き下げは合理的とは言えず、今までどおりの賃金を受ける権利があるといえるでしょう。